木糸土でまずお勧めしているのがオイルフィニッシュです。この仕上げは木の自然な感じが活かせるもので工法はいたって簡単、仕上げた生地に油を塗って拭き取る方法です。
ワトコ製のオイルフィニッシュは元祖で使い易くよく使いますが、その他荏油やくるみ油なども使います。
オイルフィニッシュしたものは、乾かしてサンドペーパーで磨き、場合によってはワックスを染み込ませたウエスで拭きあげます。
天然系のロウは、ホルムアルデヒドを含まない安全性の高いものになるので好んで使っています。ミツバチの巣からとった蜜蝋の他木蝋、ヤシの葉からとったカルナバ蝋などを自宅キッチンで湯煎しながら溶かして作っています。
ワックスを塗ると艶が増していいのですが、レーザー加工した部分には彫った部分に入り込んで取れなくなってしまうので使っていません。また、食品などを扱うバターケースや箸置きなどには、天麩羅も揚げられる荏油を使ってオイルフィニッシュするのみの仕上げにしています。
オイルフィニッシュしたものはその後の手入れが必要で、その手入れいかんによって5年後、10年後の具合が大分違うと思います。これはお客さん自身にやっていただきたいことですが、たまには乾拭きしたり、ワックスを付けたりして磨いていただくといい感じに古びて行くと思います。
近代的な塗料の中では一番古いと思います。
うちではクラシックな感じの家具には欠かせない塗料です。
アメリカのイーセンアーレンなどの高級品もいまだにラッカーを使っていると言います。
塗幕が薄いせいか上品な感じに仕上がります。それに乾いてもウレタンと違ってシンナーで溶けるので塗り直しができます。このような理由で高級家具にいまだに使っているようです。日本ではウレタン塗装が高級でラッカーは下級に思われますがそうは思いません。手間は真面目に塗るとラッカーの方が遥かにかかります。それに仕上がった感じは繰り返しになりますが、しっとりとして上品です。確かに水に弱かったりする欠点は有るのですが、乾きの早さや使い易さシンナーの毒性を考えてウレタンよりもラッカーを使って行こうと思います。
家具の仕上げでは一番多く使われている塗料だと思います。
デザイナーもやたらとウレタンで指定して来ますが、うちでは必要と思われない限りラッカーに変更してしまいます。それに黙っていても対外のデザイナーや建築家は分かりません。
ウレタンを嫌っているのはその使いにくさと仕上りの感じからです。二液製の場合は可使時間に限りが有り残った物は使えません。一液製の場合は乾燥時間が長い。そしてどちらの場合も一度固まってしまうと何にも溶けないので直しが効きません。
塗幕が厚く堅いので角などはクラックが入り剥がれてしまうことも多いのです。しかし裏を返せば対薬品性が高く耐水性も有り表面の硬度も高いので、キッチンや洗面所には適していると思います。
最近は水性のウレタンも随分出回って来ていてうちでも使い出していますが、使い勝手が悪く性能的にももう一歩と言う所だと思います。ただ有機溶剤を使わないので匂いは無く作業をしていて楽です。