オーダー家具製作例 クラシックスタイルの背の高い椅子
クラシックスタイルの背の高い椅子の製作事例です。
ご依頼は1年ほど前からいただいていたのですが、
大変難しい椅子で手を付けられずにいました。
以前作ったことがある椅子ですが、2010年暮れの火事で型板、
道具などすべてを焼失、一から作らなければなりませんでした。
しかも道具ひとつとっても特殊なものを使うので揃えるのが大変だったのです。
塗装が終わり、生地をはるための金具がついたところです。
お客様指定の生地を張り完成したところです。
それでは、製作の様子です。
座面をルーターという機械を使って掘ります。
足と手を使って操作するので、店主片足だけで立っての操作です。
ルーターは刃がむき出しで高速回転で削る木工機械の中でも
怖い機械なので、音を聞くだけでいつも恐ろしく心配です。
座面をうまく掘るために知恵をしぼり、
このような治具(工作物の加工を容易にするために、固定、
制御をするための道具)を作って座面を掘っています。
この後は手作業です。
これが特殊な道具のひとつで、鉋の底面を丸くけずったもの。
四方反り鉋という道具は売ってはいるのですが、
局面のRが違うので自分で作ってしまったほうが早いという道具です。
座面を削るのに使います。
使ってみると角度が足りません。ある鉋を加工して作ったもので
厚みがそれほどなかったので仕方ありません。
角度が足りない道具でもなんとか使いこなし、作業を進めます。
彫った後が残らないようにサンドペーパーでしつこく磨き
美しい座面が出来上がりました。掛け心地もいい感じです。
何でもできそうに見える店主ですが、30年かけて道具をそろえ、
技術を磨いてきています。
火事前にできたものでも、あっさり出来るわけではないのです。
仕事をしながら、道具を少しずつそろえやってきているので、
その苦労をお客様にはなかなか理解してもらえず、ブツブツ
いいながらの作業の連続でしたが、やりきるところが流石店主!
やはり尊敬してしまいます。
この後塗装をして仕上げていきます。
着色を刷毛塗りした後、サンディングシーラーを3回、
上塗りを2回行います。
背に生地を張るための金具を製作、これは穴をあけているところです。
金具を削って形を整えます。